37.大型客船Costa Concordia号(114,147GT)の座礁事故
  2012.1.13 1900頃発生


 1320時(日本時間14日午前4時)ころ、コスタ・クルーズが運航する「コスタ・コンコルディア」(114,147トン)がイタリア中部ジリオ島沖で座礁し、浸水した。海外での報道によると、少なくとも3人の死者が出ている模様。乗客約3,000人と乗組員約1,000人のほとんどが無事避難した。
 事故の原因はいまのところ不明。。。。。。。。。



配信された写真の数々







































海事プレス社、雑誌「クルーズ」公式サイトwebクルーズより

2012.1.14より2012.2.6.04までの掲載内容

 

コンコルディア事故を受け、IMO安全基準見直し

業界

2012/05/28

国際海事機関(IMO)は第90回海上安全委員会で、「コスタ・コンコルディア」の事故を受けた客船の安全基準見直しについて、速やかに実施すべき運航上の安全対策(短期的措置)と、事故調査結果に基づいた技術的な安全対策(長期的措置)とに分けて進めることで合意した。

短期的措置として、客船の所有者に対し、各船の実態に見合った安全対策を検討し、必要な見直しを行うよう勧告する。一例として、客室以外の場所への救命胴衣の追加搭載や、乗客に対する避難要領の周知方法、出港前の避難訓練の実施、操舵室(ブリッジ)への立入制限措置、航海計画に従った航海の実施、などが挙げられる。

長期的措置として、船体が損傷した際の復原性(傾いた船が戻ろうとする力)基準の見直しなど、今後、技術的な検討が必要と考えられる項目を整理した。具体的な作業計画は、事故調査結果に基づいて今後、決定する。

今回の委員会では、事故が発生したイタリアが事故調査の進捗状況を報告するとともに、事故後に講じた緊急安全対策を紹介した。北米大手クルーズ船社が加盟するクルーズ・ライン・インターナショナル・アソシエーション(CLIA)は、出航後24時間以内に行っていた乗客の避難訓練を出航前に変更したことなど、事故後に講じた自主的な緊急安全対策を紹介した

 

  

コンコルディア、撤去計画の詳細発表

外国客船

2012/05/21

18日、コスタ・クルーズはイタリアで座礁した「コスタ・コンコルディア」の船体撤去計画の詳細を発表した。計画では、船体をいったん浮き上がらせてから港に曳航する。曳航までの主な作業の流れは以下の4段階。

(1)船を固定したあと、海中にプラットフォーム(構造基台)を建造。水を入れられるケーソン(浮き箱)を海面上に出た側の船体に固定する。
(2)プラットフォームに固定された2基のクレーンで船体を引き揚げ、ケーソンに水を入れその重みで船体を直立させる。
(3)船体が直立したら、もう一方の側にもケーソンを固定。
(4)右舷・左舷両方のケーソンの水を抜く。

コスタ・クルーズは、この工法なら周辺の環境への影響を最小限に抑えられる、としている。コスタ・クルーズのジャンニ・オノラト社長は「われわれはこれまでに経験したことのない、特殊で複雑な撤去作業を進めている。わからないこともあるだろう。だが、われわれは正しい決断をしたと確信している。最善を尽くし、スケジュール通りに作業を続けていく」と述べた。

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27日付で既報のとおり、撤去作業はタイタン・サルベージ(米国)とミコペリ(イタリア)が共同で行う。タイタン・サルベージは海難救助や船体撤去を専門とするサルベージ会社で、ミコペリは水面下での建築作業を行う専門業者。作業は数日のうちに開始し、約12カ月かかると予想される。

 

コスタ・グループのフォスキCEO退任

業界

2012/04/27

カーニバル・コーポレーション&plcとコスタ・クルーズは、71日付でコスタ・グループのピエール・ルイジ・フォスキ最高経営責任者(CEO)が退任することを発表した。コスタ・グループの常務取締役と、カーニバル・コーポレーションの重役会には残る。今回の人事は長期的な計画に基づくもので、フォスキ氏が65歳になったことによるもの、としている。

後任にはアイーダ・クルーズのマイケル・サム社長が就任する。コスタ・グループは、イタリアのコスタ・クルーズ、スペインのイベロ・クルセーロ、ドイツのアイーダ・クルーズから成る。

フォスキCEOは1月に発生した「コスタ・コンコルディア」の座礁事故の処理にあたっていた。コンコルディアは先週、船体の撤去作業計画が決定したばかり

 

コンコルディア船体の撤去計画決定

外国客船

2012/04/27

イタリア中部で1月に座礁した「コスタ・コンコルディア」の船体撤去方法を検討していたコスタ・クルーズは、21日、アメリカのタイタン・サルベージによる計画を採用することを決定した。撤去作業はイタリアのミコペリ社との共同作業となる。

チタン・サルベージは海難救助や船体撤去を専門とするサルベージ会社で、ミコペリは水面下での建築作業を行う専門業者。作業開始は5月初旬で、撤去には12カ月かかると予想される。

コスタ・クルーズのフォスキCEOは「ジリオ島から船体を撤去するための次のステップに進めることを非常によろこんでいる」とコメントした。

船体をその場で解体せずに移動させることで、リスクと環境への影響を最小限にとどめられる、としている

 

コンコルディア座礁事故、燃料抽出作業ほぼ完了

外国客船

2012/03/23

イタリア・ジリオ島沖で座礁した「コスタ・コンコルディア」の船体から燃料を抜く作業がほぼ完了した。コスタ・クルーズの発表によると、現地時間212日から始まった17のタンクの燃料抜き取り作業は、323日夜に完了する見通し。作業の成功により、事故後の燃料流出という、環境汚染の最悪のシナリオは免れた。作業費用は数百万ユーロ。

燃料抽出作業の後は12カ月かけて船体周辺の環境調査と清掃を行う。その後、船体の撤去作業となる。現在、船の撤去などを請け負う複数のサルベージ会社から6つの作業計画提案があり、その中から最良のものを4月中旬までに選ぶことになる。撤去作業には1012カ月かかるとみられる

 

 

コンコルディア座礁事故、新たに5人を発見

外国客船

2012/03/23

海外での報道によると、イタリア・ジリオ島沖で座礁した「コスタ・コンコルディア」の船内から新たに5人の遺体が発見された。この事故による死者は30人、行方不明者は少なくとも2人となった

 

 

伊座礁事故、新たに8人の遺体発見

外国客船

2012/02/23

イタリアで座礁した「コスタ・コンコルディア」の船内で新たに8人の遺体が発見された。海外での報道によると、5歳の女児を含む4人の遺体が収容されたが、残る4人は悪天候のためまだ収容できていない模様。今回の事故の死者は25人、行方不明者は少なくとも7人となった

 

 

コンコルディア、燃料の約4割を抽出完了

外国客船

2012/02/20

イタリア・ジリオ島沖で座礁した「コスタ・コンコルディア」の船体から燃料を抜く作業が、現地時間21217時から始まった。177時までに船の前方にある4つのタンクから燃料952立方メートル(251,492ガロン)を抽出した。これは船内に残された燃料の約4割にあたる量。いまだ13のタンクに1,428立方メートル(377,237ガロン)の燃料が残っている。

抽出計画を作成したスミット・サルベージBVによると、気象・海象条件が良好で一日24時間作業ができれば、3週間以内に燃料の抽出が完了するとしている

 

 

コスタ、事故被害者への賠償申請受付期限を延長

外国客船

2012/02/20

コスタ・クルーズ本社は、「コスタ・コンコルディア」の被害者に対する賠償の申請受付期限を214日としていたが、これを331日まで延長することを決定した。乗客に時間をかけて賠償内容を検討してもらうための延長であり、内容に変更はないとしている。米国やイタリアでは一部の被害者が賠償内容を不服として受け取りを拒否、訴訟を起こしている。死傷者に対する賠償は別途、交渉中としている。

 

 

コスタ・アジア副社長、「アジアでの計画に変更なし」

外国客船

2012/02/17

コスタ・クルーズは1月に起きた「コスタ・コンコルディア」の座礁事故にかかわらず、アジアでの計画に変更はないと発表した。コスタ・クルーズのパシフィック・アジア&チャイナのバーディ・ボック副社長がシンガポールの旅行専門紙TTGアジアにコメントした記事を引用する形で、コスタ・クルーズ(北米)が発表した。

ボック副社長は「コンコルディアの事故は特殊な事例だったと、アジアの顧客は理解してくれると思う。いまのところ、アジア市場でキャンセルによるビジネス上の影響は出ていない」とコメントした。

コスタ・クルーズは今年から東アジアに配船した中で最大となる「コスタ・ビクトリア」(75,200トン)を投入する計画をすでに発表している。5月から11月まで、博多や鹿児島、細島、大阪、和歌山下津、横浜などに寄港する予定だ。

同社の安全対策について、ボック副社長は「われわれを信用してくださる方々に対して責任がある。コスタ・クルーズの安全対策をオープンにし、航海が安全であることを顧客に再保証する」としている。

 

 

コスタ、事故から1カ月で声明

外国客船

2012/02/14

113日に発生した「コスタ・コンコルディア」の座礁事故から1カ月たったことを受け、コスタ・クルーズが声明を発表した。要約は以下のとおり。

悲劇の夜から1カ月がたち、亡くなられたお客さまとクルーのご家族とご友人に、あらためて心から哀悼の意を表する。この1カ月間はわが社の歴史のなかで最も暗い日々だった。われわれは悲しみと痛みをこれからも経験し続けるだろう。われわれは、ジリオ島で亡くなられた方々と悲惨な瞬間を体験した方々を決して忘れることはない。このようなことが二度と起こらないよう努めていく。

 

 

コンコルディア、燃料油抜き取り作業開始

外国客船

2012/02/13

113日にイタリアで起きた「コスタ・コンコルディア」の座礁事故から1カ月がたった。海外での報道によると、船内に残る燃料油の抜き取り作業が12日、ようやく始まった模様。作業はスミット・サルベージBV(本社=オランダ)が行う。悪天候と高浪のため、作業開始を2週間遅らせたという。船内には約2,300トンの燃料が残っており、抜き取り作業完了には約4週間かかるとされている。

 

 

コンコルディア撤去作業の可能性

外国客船

2012/02/03

「コスタ・コンコルディア」の座礁・転覆事故から3週間がたとうとしている。現在、燃料油の抜き取り作業を行うべく準備が進んでいるが、開始から1カ月はかかるといわれる抜き取り作業のあと、残された船体はどうなるのだろうか。

客船は船体が損傷しても浸水が一部で済むよう構造上の区画が分かれており、2区画までの損傷なら沈没しない設計とすることが義務付けられている。今回の損傷がどの程度なのかまだ明らかになっていないが、船長の報告によると2区画まで浸水したことが確認されている。仮に損傷が2区画以内なら、船内にある水を抜けば船体を元の位置に起こすことは設計上、可能なはずだ。

可能性としては、
1)水を抜いて船体を起こし、造船所へ曳航。修繕して再就航(または売船)
2)水を抜いて船体を起こし、造船所へ曳航。解体、スクラップ
3)その場で解体、スクラップ
といった選択肢が考えられる。こういった作業は座礁・衝突した船舶の救助や引き揚げを専門とするサルベージ会社が行う。

海外での報道によると、コスタ・クルーズは世界各国のサルベージ会社10社に対し、船体撤去作業の入札参加を呼びかけたという。10社のなかには、燃料油の抜き取り作業を行うスミット・サルベージBV(本社=オランダ)や日本のサルベージ会社2社(深田サルベージ、日本サルベージ)も含まれる。

 

コスタCEO、座礁事故についてイタリア上院で証言

外国客船

2012/02/01

海外での報道によると1月下旬、コスタ・クルーズのピエール・ルイージ・フォスキ最高経営責任者(CEO)が、「コスタ・コンコルディア」の座礁・転覆事故についてイタリア上院で証言した。フォスキCEOは、フランチェスコ・スケッティーノ船長から会社に報告があったのは、21時ころに岩に衝突してからかなり時間が経過したあとだったことを初めて公式に認めた。

座礁してから船長が少なくとも6回連絡をとった、コスタ・クルーズのマリン・オペレーション責任者ロベルト・フェラリニ氏のメモに基づいて、フォスキCEOが証言した。船長からの報告内容は以下のとおり。

<現地時間1132157分>
座礁後、船長からの最初の連絡。船長がフェラリニ氏に対し、電気系統の故障で船内が停電になり、深刻な問題となっていると報告。岩に衝突し、1区画のみ浸水したことも報告した。

<同226分>
2
回目の連絡。船長が2つ目の区画も浸水したが、沈没する恐れはないと報告。

<同2216分>
フェラリニ氏と船長が損傷の規模について約10分間話す。

<同2233分>
イタリア当局に対し船が傾いている状況を説明したと、船長がフェラリニ氏に報告。

<同2235分>
船から避難すると連絡。

 

コンコルディア事故、海面下の捜索終了

外国客船

2012/01/31

海外での報道によると、座礁・転覆した「コスタ・コンコルディア」で作業を続けている地元当局が31日、海面下での行方不明者の捜索を打ち切ると発表した模様。安全に作業ができなくなったため、としている。いまだ少なくとも15人が行方不明。沈んでいない部分と船体の周辺約18平方キロメートルの範囲での捜索は続けるとしている。

 

コンコルディア、燃料油抜き取り作業難航

外国客船

2012/01/31

13日に座礁・転覆した「コスタ・コンコルディア」の燃料油抜き取り作業が難航している。海外での報道によると、悪天候などにより船体位置の確保に時間がかかっている模様で、船内に残る約2,400トンの燃料油の抜き取りには、少なくともあと1カ月かかるとみられる。燃料油の抜き取り後、船体の撤去作業を始めるが、撤去には710カ月かかるとの見方もある。

万が一、燃料油が流出(油濁)した場合、現場周辺の環境や住民の生活に与える損害は大きく、その賠償額は100億ドルを超えるという予想もある。油濁事故は賠償額が莫大であり、賠償できない場合の影響が大きいことから、原油などを運ぶタンカーは油濁損害賠償補償の基金に入ることが法律で義務付けられている。一方、客船は加入が義務付けられていないため、コスタ・クルーズも基金に加入していないとみられる。油濁を起こせば賠償額を全額負担することになるかもしれない同社としては、なんとしても燃料油の流出は避けたいところだ。

30
日には女性乗組員1人の遺体が発見され、この事故での死者は17人、行方不明者は少なくとも15人となった。

 

 

コスタ、事故被害者に賠償案を提示

外国客船

2012/01/28

イタリアで起きた「コスタ・コンコルディア」の座礁・転覆事故で、コスタ・クルーズ(本社=イタリア)は27日、無事救出された乗客の所持品や精神的苦痛への賠償として、一人あたり11,000ユーロ(約111万円)を支払う賠償案を発表した。賠償案はコスタ・クルーズと消費者団体の間の交渉の結果で、イタリアではすでに合意に至った、としている。この額は国際的な慣例よりも高額であるという。子供の場合も同額。死傷者への賠償は個別に交渉する。

一律の賠償額のほか、港湾税を含むクルーズ代金や、飛行機やバスなど移動費を含むパッケージ旅行代金、乗船港までの移動費と帰宅までの移動費の全額、事故を原因とする治療費、乗船中の出費を返済する。また、客室の金庫に預けた品が回収できた場合は返却する。

事故前に予約した同社のクルーズは、27日までならキャンセル料なしで解約できることとなった。

 

 

コンコルディア、燃料油抜き取り作業準備進む

外国客船

2012/01/27

座礁・転覆した「コスタ・コンコルディア」の船内から新たに1人の遺体が発見された。身元・性別は不明。この事故による死者は16人、行方不明者は少なくとも16人となった。

海外での報道によると、船体から燃料油を抜くため船体位置の確保などの作業が進んでいるが、抜き取り作業そのものはまだ始まっておらず、抜き取り完了までに約4週間かかる模様。

 

 

コンコルディア代替船運航

外国客船

2012/01/26

コスタ・クルーズは「コスタ・コンコルディア」(114,147トン)の座礁事故を受け、同船で予定していたクルーズを「コスタ・ネオ・ロマンチカ」(53,049トン)と「コスタ・マジカ」(102,587トン)で代替運航すると発表した。いずれもサボナ発着7泊のクルーズ(331日発のみ9泊)。コンコルディアが予定していたのは、サボナ発着でバルセロナやパルマ・デ・マヨルカ、ナポリなどをめぐる地中海でも人気のコース。すでにコンコルディアのクルーズを予約していた乗客は、希望すれば以下のいずれかのコースに振り替えとなる。

■コスタ・ネオ・ロマンチカ
3
24日、31日、49日、16日、23日、30日、57日、14日発

■コスタ・マジカ
5
21日、28日、64日、11日、18日、25日、72日、9日、16日、23日、30日、86日、13日、20日、27日、93日、10日、17日、24日、101日、8日、15日、22日、29日発

 

 

コンコルディア事故、死者15人に

外国客船

2012/01/24

「コスタ・コンコルディア」の座礁・転覆事故から1週間がたち、新たに21日に1人、23日に3人の遺体が発見された。現在、死者は15人、少なくとも17人が行方不明となっている。海外での報道によると、21日の1人は船尾付近、23日の1人は7デッキ、2人が4デッキのインターネット・カフェで発見された模様。

 

 

危急時、「必要な手段を尽くす」こととは

業界

2012/01/20

コスタ・コンコルディアの事故で、船長の行動が大きな波紋を広げているが、では危急時の船長の職務とは、いったいどういうものなのか。

わが国の船員法では、緊急時の船長の対応について、次のように規定している(第2章「船長の職務及び権限」の「船舶に危険がある場合における処置」第12条)。「船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない」。

ここで問題となるのが「必要な手段を尽くさなければならない」という部分。「必要な手段」とは具体的にどのような対応、行動を指すのか。

「もちろん、昔のように船と命を共にしなさい、という意味ではありません」と語るのは、日本船長協会の小島茂会長。「ただし」と強調し、同会長は次のように続けた。

「危険な状況にはさまざまなケースがあると思いますが、船長は可能な限り最後まで船に残り、救助状況を確認してから退船する、と解釈しています。船乗り、船長の当然の責務で、いわば常識です」。

コスタ・コンコルディアの事故原因、船長の過失について、ブラック・ボックスの解析、船長の取り調べが終わらないことには軽々に言えないと前置きしながら、同会長は「報道されていることが事実だとしたら実に残念です。船の仕事に携わる者として悲しい。日本では安全運航、非常時の対処の仕方などについて、学校、会社、船を通じて徹底的に教育、訓練を行っています。中でも船長の権限は強く、責任も極めて重いだけに、技術と経験が求められます。船長の私的な事情や行動で航路をはずすことは絶対にあり得ませんし、多くの乗客を残したまま逃げることはありません」。

船長をはじめ乗組員の信頼を揺るがしかねない今回の事故。クルーズファンはもとより、船に携わる人々にも強い衝撃を与えている。船長の非常識な行動が引き金になった“特異なケース”であってほしい、と願うばかりだ。

 

 

コスタ、サルベージ会社に燃料油抜き取りを依頼

外国客船

2012/01/20

「コスタ・コンコルディア」の事故直後、コスタ・クルーズがスミット・サルベージBV(本社:オランダ)に、同船から燃料を抜くための作業計画策定を発注していた。今週末には計画を実行に移す予定。サルベージ会社とは、座礁・火災などにあった船の救助や、座礁・沈没した船の引き揚げを専門に行う会社。

コスタ・クルーズは、環境マネジメント・システムに関する国際規格ISO14001認証を取得している。ISO規格を遵守し、企業としての信頼を維持したいコスタにとって、燃料油流失の防止は必須。

 

 

イタリア船級協会会長、座礁事故発言で辞任

業界

2012/01/20

海外での報道によると、イタリア船級協会のジャンニ・シェルニ会長が19日、辞職した。辞任の理由についてイタリア船級協会は、イタリアで座礁した「コスタ・コンコルディア」に関するシェルニ会長の発言が問題となったため、シェルニ会長が船級協会と距離を置くことを決断した、としている。シェルニ会長は数日前、「ジリオ島沖を通るとき、船長がいつも(島民からの)喝采に応えていたことは誰でも知っている」と発言していた。

イタリア船級協会はコンコルディアの検査業務を就航時から行っていた。

 

 

コンコルディア事故で国際海運会議所が声明

業界

2012/01/19

イタリア沖で起きた大型クルーズ客船「コスタ・コンコルディア」の座礁事故について、国際海運会議所(ICS)のピーター・ヒンチリフ事務局長はこのほど、クルーズ業界の業界団体や海運会社がメディアに対して積極的に情報開示を行うべきとした声明を発表した。

クルーズライン国際協会(CLIA)と欧州クルーズ協議会(ECC)が事故について先週末に協議し、憶測に基づく報道を避けるためにも、クルーズ業界自らがメディアに対して、業界の知識に基づく情報を提供するべきとの結論に至った。

ICS
はすでに、航海に関する一般的な事柄や規制などについてメディアからの問合せに対応を開始している。これにより、事実無根の報道を避け、安全規制、訓練基準、船舶操縦術などについてメディアの包括的な理解が深まるように協力していく方針だ。

声明では「事故原因について性急な結論が出されないよう、さまざまな調査結果を待ちながら関係者間で協議を重ねることが重要だ。メディアは船の運航だけでなく、緊急対応、船の安全性などにも疑問を呈しており、クルーズ業界における既存の制度・基準に今後なんらかの影響が出てくるかもしれない。またその影響は、クルーズ業界以外にも波及する可能性がある。このため、クルーズ業界から国際海事機関(IMO)に対して注意を促すのに加え、EUや米国に対しても同様に慎重なアプローチを取るよう呼びかけていくことが重要だ」との考えを示した。

一方、事故に対しては「原因が何であれ、極めて困難な状況で数時間も真っ暗な中、4000人以上が乗っていた船から多くの人を素早く安全に避難させることが出来たのは評価できる点だ」と語った。

 

 

コンコルディア事故、遺体発見は4デッキに集中

外国客船

2012/01/19

海外での報道によると、「コスタ・コンコルディア」の転覆事故で死亡した11人のうち7人が発見されたのが、救命艇のある4デッキに集中していた模様。イタリア沿岸警備隊のスポークスマンが語った。7人は救命艇で避難するために4デッキに集合した人たちとみられている。

現場海域では現在も行方不明者21人の捜索が続いているが、たびたび船体の位置がずれ、作業が難航している模様。現地時間19日には、現場周辺は暴風雨になるという予報が出ており、船体位置の確保が課題になる。

 

コスタ、「最大限の支援を行う」

外国客船

2012/01/19

コスタ・クルーズと親会社のカーニバル・コーポレーション& plcは、イタリア中部で座礁・転覆した「コスタ・コンコルディア」の乗客・乗組員とその家族に対し、今後の賠償など最大限の支援を行うと発表した。

カーニバル・コーポレーション& plcのミッキー・アリソンCEOは、「この悲劇によって影響を受けたすべての乗客・乗組員とその家族に対する支援は、私が保証する」とコメント。コスタは乗客・乗組員の宿泊先の手配や帰国の準備、カウンセリングの提供などを行った。また今後、今回の事故で失った個人財産への対応に取り組むとし、クルーズ代金や船上でかかった代金については全額払い戻す準備を始めているとした。

コスタ・クルーズのピエール・ルイージ・フォスキCEOは、「乗客・乗組員とその家族に必要とされる支援のため、最善を尽くす」とコメントした。

 

 

沿岸警備隊、コンコルディア船長との交信記録公開

外国客船

2012/01/18

コスタ・コンコルディアの事故直後に、多くの乗客がまだ船内に残されていたにもかかわらずいち早く避難。今は世界中からの非難にさらされているフランチェスコ・スケッティーノ船長。そのふがいなさを示す沿岸警備隊との電話交信記録を、このほどイタリア当局が発表した。以下は、そのやり取りである。船長は救命ボートに居たとされる。結局、船長が命令に従わなかったのは、報道で明らかになっている。

<当局者>コンコルディア、全員無事か。
<船長>全員無事です。
<当局者>コンコルディア 全員無事か。
<船長>全員無事です。 技術的な問題にすぎません。
<当局者>現在、乗客はどのくらい船に残っているか。
<船長>200人から300人ぐらいです。
<当局者>なぜ、そんなに少ないのか。船長は船に居るのか。
<船長>いや、船が傾いたので船上にはいない。放棄した。
<当局者>なに ! 船を放棄したって!
<船長>いや、ここにいます。
<当局者>船長、こちらリボルノのデ・ファルコだ。
<船長>船中にはまだ100人ぐらいいると聞いています。
<当局者>正確な数を言えないのか。100人ぐらいだと!
<船長>正確な数は言えません。説明させてください。最後の乗客らを避難させました。   現在、私たちは皆居ます。オフィサーも皆一緒です。
<当局者>どこにいるんだ。 救命ボートに居るのか。オフィサー全員が居るのか。
<船長>そのとおりです。
<当局者>それなら、なぜ彼らは船に戻らないのか。
<船長>それは不可能です。
<当局者>彼らを船に戻せ。指揮を取るため1人送れ。
<船長> しかし、私は指揮を取っている。
<当局者>船長、命令しているのだ。誰かを船に戻せ。
<船長> 私たちは船上で指揮を取っています。
<当局者>そのとおりだ。船上で避難救助の指揮を取れ。了解したか?
<船長>今は乗船できません。船は今……。
<当局者> なぜ、彼らに下船しろと言ったのか。
<船長>どういう意味です。船が傾いたため、放棄しました。
<当局者>船上にいた100人と一緒に放棄したということか。
<船長>今までどんな船も放棄したことはありません。海に投げ出されたのです。
<当局者>後で何が起こったか調査しよう。行われたこと全てについて話してくれ。全てだ。
<船長>私たちはここにいる。
<当局者>船に戻れ。はしごを登れ。船首に戻って作業の指揮を取れ。
(船長からの応答なし)
<当局者>何人、船に取り残されているかを報告しろ。女性が何人、子供が何人だ。避難救助を指揮しろ。これは命令だ。お前が船を放棄したので私が責任者だ。すでに死者もいる。
<船長>何人ですか。
<当局者>お前がそれを報告すべき立場だ。一体何をしたいのか。家に帰りたいのか。   船に戻り何をしたか私に報告しろ。
<当局者>聞こえるか。リボルノのデ・ファルコだ。応答しているのは船長か?
<船長>そうです。
<当局者>船に戻り何人残されているか報告しろ。船長、分かったか、この会話は記録されている。
<船長> 話したいことがあります。
<当局者>大きな声で話せ。
<船長> 今また船が傾きました。
<当局者>分かった。船首のはしごのところに人がいる。そのはしごを反対方向へ向けろ。船に戻って何人ぐらいまだ残っているかを報告しろ。 分かったか。子供はいるか、女性はいるか、特別な手当を必要する人はいるか。それぞれの人数を報告しろ。分かったか。船長、お前は海から離れて生命は安全だが、お前の取ったこの行動については、今後ただでは済まされないぞ。
<船長>どうか……。
<当局者>どうかじゃない。お前は船に戻れ。
<船長> ここに救助者と一緒にいる。私はどこにも行かない。
<当局者>船長、一体何をしているのだ。
<船長>ここで救助の指揮を取ります。
<当局者>そこで何を指揮するんだ。なぜ、船に戻らないのか。
<船長>行くつもりだが、救命ボートのエンジンが停止しています。
<当局者>船に戻れ。これは命令だ。お前は船を放棄したと言った。今は私が責任者だ。 船に戻れ。分かったか。
<船長> 係官……
<当局者>私が言ったことを聞いていないのか。
<船長>そちらが乗船したらすぐに私に連絡をしてほしい。避難担当のオフィサーがそこに居ます。そちらの避難担当のオフィサーは、今どこですか。
<当局者>彼らは今、船首にいる。行け、既に死者が出ている。
<船長>死者は何人ですか。
<当局者>分からない。お前が何人かを報告する立場だ。
<船長>すでに暗くなり、何も見えなくなっていることを分かっているのですか。
<当局者>それじゃ、家にでも帰りたいというのか。はしごを登り、船首に行け。
何が出来るか、何人残っているか、何が必要なのかを報告しろ。
<船長>私たちはセカンド・コマンダーと一緒にいます。
<当局者>それなら2人で登れ。 彼の名前は?
<船長> ディミトリス・クリティシィディスです。
<当局者>船に戻れ。
<船長> 船に戻りたいのですが、もう1隻の救命ボートのエンジンが停止して流されています。今救助を要請したところです。
<当局者>もう1時間前からその話をしている。船に戻れ、そして何人とり残されているか早く報告しろ。
<船長>分りました。

 

 

【緊急寄稿】コンコルディア事故について―池田良穂教授

外国客船

2012/01/18

今回の「コスタ・コンコルディア」の事故原因について、大阪府立大学大学院の池田良穂教授(海洋システム工学分野)に、現時点での考察をお願いした。詳細は以下のとおり。

「コスタ・コンコルディア」の転覆事故について考える

国際海事機関(IMO)の日本政府代表団の一員として、10数年間、船舶の損傷時の安全性規則の改定に携わり、その新SOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)が発効した直後に、このような大海難が発生したことには目を疑った。人間がからむシステムに発生する事故のリスクを根絶するのがいかに難しいかを思い知らされた。

インターネット上には、すでにたくさんの写真が掲載されているので事故状況を把握しやすい。まず、目についたのが座礁で開いた破口が船の長さの16パーセントにも及び、しかも船底近くにまで達し、さらに幅方向に深くえぐられていることだ。しかし、不思議なことにその破口は船体の後方に限られ、しかも前方に突き出したフィンスタビラザー(横揺れ防止装置)には損傷がない。船が直進中に岩礁にぶつかれば、船の前方から船底が切り裂かれるはず。損傷状況からは、船は急速に右旋回をしていて、船尾が横方向に移動して岩礁と接触したに違いない。

規定航路から外れて島に異常に接近したことと、この急旋回の原因が何なのかが問題となるが、これについてはヒューマン・エラーが濃厚であり、今後の船長らへの事情聴取で明らかになるだろう。水面下の岩礁はレーダーには映らずとも、電子海図には示されるので、当時操船指揮にあたっていた航海士の技量の問題もありそうだ。ずいぶん昔にはサッカー観戦に夢中になって前方確認を怠って衝突したイタリアのフェリーもあったが、そうしたモラルの問題がなかったのかも検証されるであろう。

さて、ここからは技術的な検証に移ろう。暗い海面で20度程度右舷に傾いて浮いている写真もあったが、この写真からは転覆が近づいているとは思えない。この種の大型クルーズ客船では、復原力(傾いた船が元に戻ろうとする力)がなくなって転覆する限界横傾斜角(すなわち復原力消失角)は40度強はあるはずなので、この時点でまだ転覆の危険はないはずだった。しかし、浸水途中に各デッキにそれぞれ薄く水が溜まると復原力が低下し、この復原力消失角も小さくなることが知られている。

なぜ、左舷が損傷したのに、右舷側に転覆しているかも疑問のひとつだ。左舷側が損傷すれば、左舷の区画に水が入り、まず左舷側に傾く。筆者らの11万トン級船での研究では、最大17度近くまで傾き、その後時間の経過とともに直立に戻る。これが「中間段階の大傾斜」と呼ばれる現象で、おそらく、それを立て直すべく右舷のタンクに水を入れたため、各デッキ上に溜まった水が一気に右舷側に溜まり、左舷側の船側が海面上に出たのであろう。破口が小さい場合には、これで破口が海面上に出て浸水が止まるが、今回の事故で破口が船底近くにまであったので、浸水がその後も続き、無傷の右舷側の各デッキに溜まった海水が排出されずに、船は傾いたまま海岸に打ち寄せられて座礁、横転となったと考えられる。

IMO
では、最近、巨大クルーズ客船の退船避難に潜む危険性から、客船自体が損傷後も乗客乗組員を載せて近くの港まで帰る能力をもつことを義務付けた。これを「安全なる帰港に関する要件」と呼ぶ。ハード面での安全性を高めるためのものだが、船員に大型船の「安全神話」、「不沈神話」を作ってしまい、これが退船の遅れにつながったことも危惧(きぐ)される。これも今後、検証すべき事項であろう。

文=池田良穂
大阪府立大学大学院海洋システム工学分野教授
日本クルーズ&フェリー学会会長

 

 

コンコルディア新たに5人の遺体発見、死者11人に

外国客船

2012/01/18

イタリア中部で座礁・横転した「コスタ・コンコルディア」の船内から、新たに5人の遺体が発見された。今回の事故による死者は11人、行方不明者は24人となった。

現地時間17日の夜明けとともにイタリア海軍の専門家が船内の一部を爆破。これまで捜索できなかったエリアにダイバーが入ることができるようになり、発見につながった。

コスタ・クルーズの親会社であるカーニバル・コーポレーション&plcのミッキー・アリソン最高経営責任者(CEO)は、「新たな死者が出たことを深く悲しんでいる。引き続き人命救助のための支援と、乗客・乗組員のケア、環境被害を防ぐため船を安全に確保することに優先的に取り組みたい」とコメントした。

 

 

コンコルディア事故、燃料油流出のおそれ「環境被害を防ぐ」

外国客船

2012/01/17

イタリア・トスカーナ州ジリオ島沖で座礁・横転した「コスタ・コンコルディア」について、コスタ・クルーズのピエール・ルイージ・フォスキ最高経営責任者(CEO)は、環境被害を防ぐことは優先的課題であると、16日深夜の記者会見で述べた。横転したコンコルディアの周辺は波が高く、船体がより深く沈んで燃料油が流出するおそれが高まっている。

フォスキCEOは、コンコルディアには21のタンクがあり、さまざまなタイプの燃料油約2,300トンを積んでいる、と明らかにした。コスタ・クルーズの親会社であるカーニバル・コーポレーション&plcは専門家を現地に派遣し、船を安全に移動させる方法や時期について、コスタに助言している。

17
日現在、6人の死亡と60人の負傷が確認されている。いまも行方不明者の捜索が続いており、イタリア沿岸警備隊によると、行方不明者は29人(乗客25人、乗組員4人)。

 

 

コスタ事故、船長が規定のコースを逸脱

外国客船

2012/01/17

コスタ・クルーズのピエール・ルイージ・フォスキ最高経営責任者(CEO)は16日深夜(現地時間16日午後2時過ぎ)の記者会見で、同社が所有する「コスタ・コンコルディア」の事故について、「船長はコスタ・クルーズが規定するコースを大きくはずれ、島に近づきすぎた。重大な人為的ミスである」とあらためて船長の過失を認めた。またこの理由について、同島出身の乗組員に対して島を見せようとしたため、と語った。

事故当時、船長は操舵室にいたことも明かした。船長が飲酒をしていたという報道については、「コスタ・クルーズではぬきうちの飲酒検査をすることがあり、飲酒の事実はない」とした。

避難訓練を実施する前の事故だったことについては、「規定では出港より24時間以内に避難訓練を行うことになっている。コスタ・コンコルディアに関しては、出港の翌日に避難訓練を行う予定になっていた」と語り、この点については同社に過失がないことを明らかにした。また「201111月にクルーを対象に避難訓練を実施しており、この点も法を遵守している」と語った。

現在船長は過失致死などの容疑で捜査当局に身柄を拘束されている。船の動きを記録した「ブラックボックス」は捜査当局によって回収され、事故の本格的究明が行われている。

現在も救助活動が続いている同船について、フォスキCEOは「何人が行方不明になっているか、正確な数字はわからない」とし、「現状は人命救助を最優先する。亡くなられた方に心から哀悼の意を表する」と語った。また乗客に対する補償などについてはこれから検討するとしている。

 

 

コスタ事故、日本人乗客が帰国予定

外国客船

2012/01/16

一部報道で、今回事故のあった「コスタ・コンコルディア」に乗船していた日本人は43人とされているが、コスタ・クルーズの日本販売代理店2社によると、日本からの乗客は合計37人(添乗員を含む)。残り6人は海外在住の日本人の可能性があり、コスタ本社に直接申し込んで参加した模様。日本人乗客は全員無事が確認されており、コスタの手配でローマ空港近くのホテルに滞在、近く帰国する予定。

ある大手旅行代理店では、114日にサヴォナから同船に乗船するツアーを企画。ツアー客らはすでに日本を出発して現地入りしていたが、全員が帰国する見通し。

今年2月末までに同船のクルーズを予約していた日本人は250人以上に上る。

 

 

コスタ事故はヒューマン・エラー、専門家は対応など問題視

外国客船

2012/01/16

大型客船「コスタ・コンコルディア」が座礁・横転した事故について、国内の専門家からは、船体構造よりもヒューマン・エラーを原因とみる指摘が出ている。

神戸大学海事技術マネジメント学科長の古荘雅生教授(船舶安全学)は、クルーズ客船が他のタンカーやバルカーなど貨物船と比べて、海面上に出ている部分が大きく背が高い点を指摘。「ビデオを見た限りで気象条件がわからないが、かなり風が強かったように見えた。風が強いときに出港し、横風に押されたのではないか」と事故発生を分析。出港時の船長の判断として、「運航スケジュールを維持しないといけないと思うコマーシャル・プレッシャーもあったのではないか。船体の構造が問題というのではなく、今回の事故はヒューマン・エラーだろう」とした。

乗客が船から海に飛び込み死亡した点については、「私たちは船員になる人に『本船は大地』と教えている。陸から海に飛び込むようなものなのだ。乗客は、そういうことを教えてもらっていないので、客船から陸上も見えていたので、海に飛び込んで泳げば陸上に着けると思ったのではないか。これは乗組員が制止しないといけないこと」とも指摘。

また最近のクルーズ客船で乗組員の多国籍化している点も挙げ、「乗組員は多国籍化しているが、緊急時のコミュニケーションがとれていない。東南アジアを始め、多くの国々から働きにきているが、トレーニングが十分だったかどうかも検証しないといけないだろう」と述べた。

大阪大学地球総合工学専攻の長谷川和彦教授(船舶設計学)も、「詳細はまだわからないが報道を見る限りヒューマン・エラーだと思う。避難誘導が遅かったのも、事態が悪化した一因だろう。機器類の問題ではないだろうと見ている」とした。今週、IMOでスタビリティ・コミッティー(船の復原性に関する小委員会)が開催されているが、「当然話題になっているはずだ。今後ルール化の話が出てくる可能性はある」との見方も示した。

日本のあるクルーズ船社の運航責任者は、事故の原因について「最近は電子航海図を使用しており、航海士が航路設定のために数値を入力するが、その際に入力ミスがあった可能性がある。船位の不確認もあったのではないか」と指摘している。

出港したチビタベッキアはローマの外港で、年間延べ500隻以上のクルーズ客船が立ち寄っている。クルーズ社の乗組員にとって最も熟知している海域なだけに、今回の事故に首をかしげる関係者は多い。

また、乗船者の声として乗船後、避難訓練が行われなかったとの報道があるが、「SOLAS条約によると、24時間以上乗客が船に滞在する場合、24時間以内に避難訓練することが義務付けられている。出港後、数時間後に事故が起きているので、それまで避難訓練が実施されていなかったとしても違反ではないが、欧州の船は出港前(または直後)に実施する場合が多い」としている。

 

 

コスタ、乗船予定客への対応

外国客船

2012/01/16

コスタ・クルーズ本社は今回の「コスタ・コンコルディア」の事故を受け、2012225日までに同船に乗船する予定だった乗客への対応を発表した。詳細は以下のとおり。日本の旅行代理店を通して申し込みをしている場合は、各旅行代理店の規定による。

2012114日にサヴォナから乗船予定の乗客
帰国便の航空券代とクルーズ代金の全額、クルーズクレジット30パーセントをコスタが負担する。乗客が今年3月までの代替船への乗船を希望し、コスタ経由で航空券の手配をした場合、コスタが航空券代を負担する。代替船は「コスタ・ルミノーザ」「コスタ・メディタラニア」「コスタ・ファボローザ」「コスタ・セレーナ」の4隻。再予約は2012118日まで。

2012115日から120日までに乗船予定の乗客
乗客がキャンセルを希望する場合、クルーズ代金の全額とクルーズクレジット30パーセントをコスタが負担する。クルーズのみの乗客の場合、航空券代は賠償されない。乗客が今年3月までの代替船(上記4隻)への乗船を希望する場合、航空券の手配をサポートし、変更手数料について航空会社と協議する。

2012121日から225日までに乗客予定の乗客
乗客がキャンセルを希望する場合、クルーズ代金の全額とクルーズクレジット30パーセントをコスタが負担する。クルーズのみの乗客の場合、航空券代は賠償されない。再予約を希望する場合、20126月までの7日間のコースであれば、クルーズ代金をコスタが負担する。航空券の手配をサポートし、変更手数料について航空会社と協議する。

 

 

コスタ、座礁事故で「人的ミス」と発表

外国客船

2012/01/16

既報のコスタ・コンコルディア座礁事故について、コスタ・クルーズは142015分(ヨーロッパ中央時間)に「今回の悲劇をひどく遺憾に思う。我々の心と祈りは(事故の)影響を受けたすべての人とともにある」とする声明文を発表した。事故の原因については、フランチェスコ・スケッティーノ船長らによる「重大な人的ミスがあったようだ」とコメント。当局と共に事故原因の解明にあたる中で明らかになった。


同船のとった航路は岸に近づき過ぎており、またスケッティーノ船長への事故への対処はコスタ・クルーズの規定に反するものだったという。船長は警察に身柄を拘束されており、罪状はさらに重くなる見通し。船長は2002年にセーフティー・オフィサーとして同社に入社。2006年から船長を務めている。


同社によると、乗客と乗務員の安全、また事故による環境への影響を食い止めることを最優先事項に、事故後から1100人以上の従業員が徹夜で作業にあたっている。


同社は正確を期すために、現時点ではこれ以上のコメントは控えたいとしている。

 

 

カーニバル、コスタの事故について声明文を発表

外国客船

2012/01/15

カーニバル・コーポレーション&plc(本社:米国マイアミ)は、イタリアで発生した「コスタ・コンコルディア」の事故について声明文を発表した。カーニバル・コーポレーション&plcは同船を運航するコスタ・クルーズの親会社にあたる。要旨は以下のとおり。

2012113日、コスタ・クルーズのコスタ・コンコルディアは乗客約3,200人、乗組員約1,000人とともにチビタベッキアを出航、7日間のクルーズに就航した。中央ヨーロッパ時間22時(現地時間21時、日本時間14日午前5時)ころ、同船はイタリアのジリオ島の海岸で岩に激突し、船体に重大な損害を受けた。このため船を放棄し、救命艇を展開するよう指示が出された。

痛ましいことに複数の死傷者が出たと報告されており、われわれは深い悲しみの中にある。カーニバル・コーポレーション&plcは同船のすべての乗客と乗組員、そしてその家族の方々にお悔やみと心からの弔意を表する。われわれは乗客と乗組員の救助と支援のため、十分な資金提供を行っている。

救助と支援のため尽力してくれたイタリア沿岸警備隊と地元の方々に深く感謝の意を表したい。

われわれは事故の原因を徹底的に調査している。乗客・乗組員の安全が最も重要であることに変わりはない。」

一部報道によると、いまだ数十人の安否が確認されていない模様。日本販売代理店によると、日本人乗客は全員無事が確認された。過失致死と船舶放棄の容疑でフランチェスコ・スケッティーノ船長と一等航海士が警察に身柄を拘束されたとの報道もある。

 

 

コスタ・コンコルディア、イタリアで座礁事故

外国客船

2012/01/14

1320時(日本時間14日午前4時)ころ、コスタ・クルーズが運航する「コスタ・コンコルディア」(114,147トン)がイタリア中部ジリオ島沖で座礁し、浸水した。海外での報道によると、少なくとも3人の死者が出ている模様。乗客約3,000人と乗組員約1,000人のほとんどが無事避難した。

事故の原因はいまのところ不明だが、電気系統のトラブルで船が停止したとの報道もある。事故から一夜明け、船体は横倒しになり、右舷側がほぼ水没している状態。

同船はこの時期、チビタベッキア発着でサボナ、マルセイユ、バルセロナ、パレルモなどに寄港する7日間のクルーズを行っている。この日はチビタベッキアを出航後、最初の寄港地サボナに向かう途中で事故が発生した。

コスタ・クルーズが所属するカーニバル・コーポレーション&plcのミッキー・アリソンCEOはインターネット上で「われわれの思いと祈りはコスタ・コンコルディアの乗客と乗組員とともにある」とコメントした。

同船はコスタ・クルーズ最大の11万トン級「コンコルディア・クラス」の第一船として2006年に就航した。乗客定員3,000人(最大3,780人)、乗組員数1,100人。

コスタ・コンコルディア
http://cruise-mag.com/cruise_db/profile.cgi?_v=1316272674&tpl=view

 

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