3-2nd  神戸港復興工事

1.復興工事の基本
   (1)  沈下した主要防波堤(第1、第6および第7防波堤)台風来襲シーズン

      までにMAX2メートル嵩上げし、台風高潮による二次災害を防ぐこと。

 (2)動脈路の確保

   ポートアイランドへの唯一の動脈路である神戸大橋の修復工事のため

      第三突堤から神戸大橋へ乗り入れる仮設大橋を設置したこと。

 (3)アスファルトおよび生コンの島内自給

   ポートアイランドへの輸送が極めて困難な状況下にあって、アスファルト

      工場を島内に建設するとともに出荷能力200m3/hという巨大な生コン

      プラント船を寄神建設と小野田セメントの共同開発により建造、PC'7に

      係留し24時間ミキサー車へ供給可能となったこと。

    これは世界初の試みでありJIS規格等規制問題を克服し、復興工事

      の迅速化に大きく貢献した。

 (4)打手替え工法

   ほぼ壊滅状態のコンテナバースをできる限り早くユーザーの安定使用

      に供するためとられた方法である。

    すなわち各ユーザーが使用している連続する複数のバースのうち、

   いづれか一方、比較的被害が少ないバースを応急復旧させ供用し、

      他方を最初から本格復旧工事開始する。

    約1年後の平成8年5月頃から各バースが打手替えされ、それまで

      応急復旧で使用していたバースが本格復旧工事開始された。

    飛び飛び場所の工事であり、工事の煩雑さおよび能率面のデメリット

   は否めないが、ユーザーの安定使用という面で高く評価された。

 (5)耐震強化岸壁

   防災港湾をめざし耐震強化岸壁の増加とともに、一般岸壁についても

   設計震度を増強することとなった。

 (6)作業機器、資材、技術者および作業員等の確保

   さいわい日本全土不況下にあり大型公共工事も沈静化していた。

    作業機器、資材、技術者、作業員、輸送トラックおよび輸送船等の

   確保に支障を来すこともなかった。

    また、大型フローティングクレーン についても東京湾湾岸道路工事

   での役割を終え、大手3社所有の全11基がすべて関西の基地に

   戻り次の仕事待ちの状態であったことも幸いした。

    以上を基本とした復興工事は、当初のスケジュールどうり約2カ年で

   完了した。

2.コンテナ岸壁を中心とした復興工事の工法
 
 全部で10数種の工法が採用されている。前面水域面積の広狭あるいは、
 被害の程度により
  ①ケーソン前出し工法
  ②ケーソン据え直し工法
  ③鋼管杭打ちによる桟橋前出し工法
  ④鋼板セル工法
  ⑤その他(新港1突~3突、防波堤など)
 などに大きく分けられる。
  新港第7突堤、第8突堤のように鋼管杭打ちによる桟橋工法で造られた
 ものが被害が少なかったことから、今回の工法採用に当たっては従来より
 桟橋工法が多く採られている。

(1)ケーソン前出し工法(写真2nd-1-01~2nd-2-08まで18枚)

 (1)―1 28メートルのケーソン前出し
   六甲アイランドRC1,2,3W(水深―13メートル)、3S,4,5
  (水深―14メートル)については、前面水域が広いことから新法線が
  旧法線より28メートル前に出る位置に新たなケーソンが設置された。
   前のケーソンはそのままとし、新旧のケーソンの間は海底より
  約半分の高さまでの捨石とし、上半分は中空とし背後の土圧を
  低減している。岸壁エプロンは桁が渡され連続されている。
   使用ケーソンの大きさは、LxBxD=13X13X16.8(m)1個1,600㌧
  程度のもの。
   ガントリークレーンは新旧ケーソン上に設置された。
 (2)-2 小幅のケーソン前出し
   ポートアイランドPC-1~5(水深―12メートル)については、
  新法線が旧法線より17メートル前に出る位置に新しいケーソンを
  設置した。旧法線はそのままとし、新旧ケーソン間の処理は
  (1)-1と同じである。
   使用ケーソンは13X13X15(m)である。
   また、新港東埠頭旧5~6突間南側および東側(旧8突東側)についても
  小幅ながらケーソン前出し工法が採られた。 
 

                 photoseries2nd-1

photo2nd-1-01

                六甲アイランドコンテナバースRC3S上で据え付け待機するケーソン。
             1ヶの重さ1,600トン LxBxH=13x13x16.8(m)

photo2nd-1-02

応急復旧により使用中のバースを除き”白い巨塔”ケーソン
で囲まれた六甲アイランド西岸コンテナバースRC1~RC3W


photo2nd-1-03

六甲アイランドコンテナバースRC4ケーソン設置する
寄神建設「翔隆」3,000トン
ケーソン1ケの大きさと重さ。付近を歩行する人と比べてよく解る


photo2nd-1-04

吉田組「第50吉田号」3,500トンによる六甲アイランドコンテナバース
RC3Sケーソン設置作業。φ150mmワイヤー24本によるつり上げ。


photo2nd-1-05

吉田組「第50吉田号」3,500トンによる六甲アイランドコンテナバース
RC3Sケーソン据え付け作業
潜水夫による海底の最終チェックが着底直前にも行われる


photo2nd-1-06

30m前出し作業中の六甲アイランドコンテナバースRC1
手前の係留バースは応急復旧にて使用中のRC2.
RC2はこれから後RC1と打って替えされ同様に前出しされる


photo2nd-1-07

六甲アイランドコンテナバースRC3Wに設置された前出しケーソン


photo2nd-1-08

六甲アイランドRC5に設置された前出しケーソン
手前は応急復旧にて使用中のRC4.
同様に後日打手替えされ本格復旧にて前出しされる


photo2nd-1-09

打手替え後のポートアイランドPC-2のケーソン設置作業
寄神建設「翔隆」3,000トン

メリケンパーク南端部の陥没

    NEXT
目次に戻る