平成13年1月1
日
海,港そして仕事船から
の発信です(01-01)。
明けましておめでとう
ございます。
稲葉です。。
新年早々の配信メール(01
-01)になりましたが、素敵なメールにならないこと
申し訳ありません。
昨年中は大変お世話頂きまし
て大変ありがとうございました。
昨年最後の仕事は、
30日朝0845堺泉北港浜寺航路を入航して泊地内の
とあるオイルターミナルに接岸
するVLCC 「ELSE MAERSK号」
GT159,187トン(デン
マーク船)でした。
船の長さが340メートル、
幅が60メートルというでかいヤツです。
船長はデンマーク人
(42歳)。
堺泉北港で休暇下船して、元
旦の1日関西國際空港から、香港、パリ経由で
デンマークに帰るそうで、6ヶ
月振りの帰宅で奥様とお嬢さん(13歳)が首を
長くして待っているそうです。
3月中旬まで休暇だそうで満
面に笑みを浮かべておりました。
デンマークまで16時間だそ
うですが、元旦に発って、元旦のうちに到着する
そうです。 時差が8時間です
から。。。
思い出されます
ね。。。昔を。。。。。
今から、20年前の事です
が、わたしが一等航海士の時でした。
鉱油兼用船(原油と鉱石を交
互に運ぶ船10万トン)に乗っておりました。
南米はブラジルのビトリアと
いうところで乗船して、シンガポールで1年2ヶ月後に
下船するまで、日本はおろか地
球のこちら側には戻ることがありませんでした。
その船は、三国間輸送
に従事する船でしたので、メインの航海海域は
南北大西洋と地中海ばかりでし
た。最後にインド洋まで戻ってきたのは
シンガポールでドックに入るた
めでした。
今の私の最後の子(娘)20
歳は大学生ですが、その船に乗る3日前に
生まれました。
下船して、自宅に戻ってきた
時はすでに1歳2ヶ月に成長しておりました。
早速抱き上げようとしました
が、泣き叫んで怖がりました。
娘にすれば、いきなり
見知らぬ男がでかい顔して家に入りこんで
いきなり「私がお前のお父さん
なのだよ!!」といっても。。。。
きっと気持ちの整理がつかな
いことでしょうね。。。
母親の後ろに隠れてこちらを
覗きこむ仕草ばかりの約1週間でした。
これが船乗りの生活なん
だ!!としみじみ実感させられました。
このたびのデンマーク
人船長さんのご家族の喜ぶ顔が目に浮かびます。
6ヶ月振りの帰宅ですから、
大して長くはないかな。。。
やはり長いでしょうね。。
この船は本日の
0945に堺泉北港を出港致しました。
接岸時には、すでに交代の船
長さんが来ておりました。
いまごろ前任の船長さんは空
港を飛び立っている事でしょう。
無事に時間通り、元旦のうち
にデンマークの空港に到着する事を
願っております。
本日の出港時には、私
とは別のパイロットが本船に向かいました。
堺泉北港で0945に本船に
乗る場合は、元旦の朝0700頃自宅を出て
いますので、元旦の日の出を沖
で見るには少し遅かったかな??
などと考えながら、本船の上
から、送ってきたパイロットからの
ドコモアイモードのメールを読
みながら、パソコンの前に座っております。
無事に予定通りに出港したと
の知らせでした。
本年もどうぞよろしく お願い致します。
添付ファイルでお送り
致しました写真は、
1.浜寺航路を夕方
出港するVLCC World Prospect号
143,942トン、船の
長さ340メートル、船幅60メートル。
(圧縮して28KBで送り
ます。)
2朝入航するL.浜寺航路をNG船
10万トン。
(圧縮して28KBで送り
ます。)
稲葉 八洲雄
(阪神パイロット)
ホームページ「海と船の写真
展」URL:
http://inaba228.sakura.ne.jp/
E-mail,
mm2y-inb@asahi-net.or.jp
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平成13年2月4日
海、港そして仕事船からの発信です(01-02)
今晩は!!稲葉です。
本日のテーマは、「信頼関係と安全」です。
さる1月29日にホームページ目次の8に「港内操船者の分身・タグボー
ト」
というのを掲載致しました。
これは日本港湾タグ事業協会からご依頼を頂き、日常業務を通じて
仕事仲間の「信頼関係の大切さ」をお伝えしたいと思った次第です。
テーマをタグボートの船長さんとの信頼関係においております。
上記協会の機関誌「ハーバータグ」NO.30新年号に掲載されました内
容です。
ボチボチ配信メールでご案内をと思っておりましたところ、1月
31日の夕方、
日航機のニアミス事故を事務所のテレビで知りました。
その後事故原因について紙面を追っているうちに、本日の夕刊で原因は
「管制官によるもの」「「管制官の勘違い」「便名の取り違い」などの文字
に
釘付けになりました。
また、「空の世界では絶対的な権限を持つ管制官が、信じられないような
ミスの連鎖に陥っていた。」 「この世界では管制官とパイロットの信頼関
係があって
初めて安全が確保される。」とも。
航空関係者たちは「この事故で管制官とパイロットの信頼感が損な
われるのが最も怖い。」
「今後は、パイロットが管制指示を必要以上に確認する事になるだろ
う。」
とのコメントを新聞は報じていた。
最近の数十年間を見ると、ハイテク機器の性能向上には想像を絶す
る
スピードがありますね。
ディジタル以前の世代でもあるわれわれには、人間はどこまでのスピード
に
追い付いていけるのか?
といった疑問を抱かずにはいられません。
東京のお空は相当に過密なんですね!!
過密にスピードが加わると、これは大変ですね。
東京湾は、海も過密です。船も高速化され、大型化されてます。
東京のお空も東京湾も広さは昔と変らないのですが。。。
人間も。。時代の寵児(ハイテク)の急激なスピードアップにはついて
いけないのでは??
私の車は昭和62年製の1500cc車。13年も乗っておりますが走行距離は
いまだに55,000キロ程度。
車でなければいけない場所以外には車は使いません。
高速道路でも時速80キロ以上は出しません。最左側車線を適度なスピー
ドで。。
これなら、神経をすり減らす事は無いのです。
日本の道路では、この程度の大きさの車が最適なのではないでしょ
うか??
仲間の皆さんに云われます。「その車では、事故った時に命は守ってはく
れないよ!!」と。
しかしスピードを出す連中が事故率を高める大きな役割を演じている事も
お忘れなく。。。
適度なスピードと大きくない車。
東京湾も東京のお空も過密と高速化と大型化を和らげてやる必要がありま
すね。
果てしのないハイテク化への路を突っ走りながら、時代の流れに安全に身
を置く方程式は
見つかるのでしょうか??
それから。。。今回の管制官の「勘違い」や「取り違い」の
事ですが、
われわれの船の方でもありますね。全く同じようなことが。。。
港外で本船に乗船し、本船を目的のバースに着桟させるまで操船す
るのですが、
パイロットが「操船する」ということは、本船の船長に替わってというか、
船長の代理人として
本船の操舵手に舵取りの号令を発したり、船橋の担当航海士に対して機関操
作の
オーダーを発するわけです。
この過程で操舵手や航海士が私の号令を「勘違い」、あるいは「取
違い」するときがあるわけです。
港内の狭い場所など緊張を強いられる場所で、これらの勘違いや取違いを
やられると
大きな事故になりかねません。
例えば水路が右方向に湾曲している場合であっても、私が操舵手に
対して「Port 10」
(左に舵を10度取れ)というオーダーを発する場合があります。
船を右方向に変針するより先に、手前の障害物をよけねばならない場合に
そのようなオーダーに
なるわけですが、この場合操舵手が前もって自分の考えで。。。「水路は右
方向に湾曲している。
まもなく右10度のオーダー(Starbd 10)があるな!!」と勝手
に予測していた場合には、
操舵手からのAnswer backは「Port 10」でありながら、
実際には操舵手は右10度(Starbd 10)を
とっている場合があります。
このような場合は、船はパイロットの考えている方向とは逆の方向
に船は変針を始めるわけですから
まさにパニックに落ちることになります。
このような大切な場所では、パイロットは単純にオーダーを発する
だけでなく、操舵手が間違い無く
オーダー通りに舵を取るかどうかを舵角計の動きを注意して監視しておりま
すので大事に至る事は
ありませんが、人間である限り、このような勘違い、取違いを起こすことが
あるのだと考えておく必要が
あります。
機関の操作にしても目的のバースに近づいて、いよいよ本船の前進
行脚を止めたい時に、
Eng の後進を指示します。
例えば「Dead slow astern」あるいは「Slow
astern」を発します。
この場合も本船の航海士がEng Telegrafhを「勘違い」によ
りEngの前進にかけた場合、
すなわち「Dead slow ahead」または「Slow
ahead」とした場合には、同様にパニックとなります。
このような航海士による「勘違い」「取違い」もたまには発生致し
ます。
このような場合も、とくに緊張を強いられる場所では、パイロットは単に
オーダーを発するだけでなく、
間違い無くオーダー通りの機関の操作が行なわれているかどうかをEngの
回転計を注意して
監視することにより間違い、勘違いの予防に努めているわけです。
この度のジェット機のように「3分前に緊急衝突予防装置が働くこ
とになっている」とか
「実際に装置が働いたのは1分前だった」とか、予防装置の指示と管制官の
指示が
緊迫した最後の1分間以内で逆であったとか、時間的な余裕の有無を考える
と、
われわれの船の場合とは条件が大きく異なりますね。。
われわれの船の場合には、ジェット機よりは間違いを修正する余裕
があるように思えますね。
船の場合は、操舵手や航海士の「勘違い」「取違い」を船長やパイロット
が早期に発見して
修正、訂正することにより事故の未然防止がある程度可能ですが、ジェット
機のように
数百倍もスピードを持つ動体の場合は、人間の判断以外に幾重にも安全装置
が
働くようにしておかねばならないでしょうね。。
この度の日航機のニアミス事故を考える時、管制官の再教育・訓連
や担当管制空域の
再編制替えだけでは解決困難な問題は残るように思えますが如何でしょう
か??
残ったのは「過密すぎる!!」ではないでしょうか??
このようなことを考えながら大阪の海はまだまだ東京
のお空や東京の海よりはマシだな!!と。
ため息混じりの土曜日、日曜日を過ごしました。
ホームページ目次の8「港内操船者の分身・タグボート」と共にご覧くだ
さいませ。
ここでは信頼関係がテーマです。
稲葉 八洲雄
(阪神パイロット)
ホームページ「海と船の写真展」URL:
http://inaba228.sakura.ne.jp/
E-mail, mm2y-inb@asahi-net.or.jp
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平成13年2月28日
海、港そして仕事船からの発信です(01−03)
今晩は!! 稲葉です。。
本日のテーマは「シーマンシップと船員の常務」です。
県立宇和島水産高校実習船「えひめ丸」が2月9日現地時間の
13時43分に
米ハワイ・オワフ島沖で米国原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突沈没さ
せられた。
以来皆様ともども各紙の報道に注意を払っておりました。
なかなか事故原因に関する核心に触れる報道が見られませんでしたが、
やっと24日頃からの報道で当時の潜水艦の艦内の模様を中心に「なんと
なく!!」
秘密のベールが剥がされてきたように感じられます。
これまでの報道で明かにされた内容が正しいものと判断した上
で、海技者の一人
として感ずる「何故??」の一端をご紹介させて頂きます。
内容はあくまでも海技的なテーマのみに限定致しております。
1.波の高さとうねりの高さ
初代の日本丸で大学卒業前の帆船実習で太平洋を渡った。途中
操練で救命艇を
水面に降下、日本丸の周囲を一回りした。勿論海上平穏時を選んでの操
練でした。
風は無風状態であるため、風による波の高さはせいぜい50センチ程
度でした。
いわゆるベタ凪ぎ状態。
しかしながら何といっても太平洋のど真ん中のこと。
「うねり」は常時あります。周期も太平洋特有のながーい周期です。
それこそ10秒乃至15秒くらいか?
「うねり」の高さは数メートルあった。
ボートは水面に下ろされ、オールを漕いで日本丸の廻りを一
回りした。われわれ学生が
乗っている救命艇の中での眼は約2メートルといったところか?
その高さから本船(日本丸)を見るとせいぜい200メートル程しか
離れていないのに日本丸の
マストのテッペン(高さ50メートル以上か?)がうねりの間で見え隠
れします。
太平洋とはこのような状態なのです。
少しばかりのうねりがあるだけで、低い眼高からは水面上かなりの高
さの物でも視認するのは
至難の業です。
この度の潜水艦の艦長さんが潜望鏡を水面上に出した高さは最高2
メートル、しかも
海上監視に費やした時間は2分間であったとの報道。
この程度の短時間で、えひめ丸(マストの高さはせいぜい20メート
ル程度か?)の発見は
極めて難しいのでは?不可能に近いでしょうね!!
2分間程度で「えひめ丸」の存在を視認出来る確立を考える
と、潜水艦がうねりの上端に
持ち上げられた瞬間であり、かつ潜望鏡の方向がたまたま「えひめ丸」
の方向に向いていた
場合に限りますが、おそらく数百分の一の確率と考えられます。
誇り高きアメリカ海軍。。これで敵艦を発見できるのか??といった
「何故??」です。
2.操艦司令室のあるべき姿
われわれの場合は、操船司令室、つまり船橋ですが、安全操船の
妨げになる要因を
すべて取り除くのは船員の常務(法律)です。
船橋において安全操船を妨げるものとしては、
(1)内外部の音、声を聞くのに妨げになるもの。
操船室内での不要な会話や不要な音を発する計器類。
港内操船におきましては、操船中常時他船ガ発する汽笛音、操船用ト
ランシーバーから
発せられる声、國際VHFから発せられる声、機関の音、風の音、船長
初め操舵手、航海士の
Answer Backの声などに全神経を傾ける必要があります。
余計な声や音が発せられると緊張が狂い、神経の集中が脅かされ安全
操船の妨げになる事
明白です。
16名の民間人の存在と説明員による説明等は、安全操作の妨げで
あったとおもわれます。
(2)周囲の状況確認の妨げになるもの。
視野および行動を妨げる障害物の存在。
5メートル四方の狭いところで、16名の民間人の存在そのものが
業務遂行上、安全確認の妨げになっている事でしょう。
(3)関係者以外の人間の存在。
身分上その他の要因で配慮を必要とする人の存在。
中佐である艦長の上司にあたる大佐が16名の民間人に対するガイド役
を努めていた事。
指令室内各部署において、安全確認に関する上官の判断に異議を唱える
ことに躊躇
せねばならない雰囲気が存在したこと否めない。
これも民間人が多勢同乗している状況下では起こり得る異常事態です。
われわれの船でも、コンテナ船等商業船の場合は、船橋にいる人の数はパ
イロットを含め
せいぜい3名ないし4名ですが、豪華客船の場合は、金筋4本巻いた船長
さんとおぼしき人物が
3,4名おりますのでそれだけでも当惑しますが、それに加えて客船に
もよりますが、たまには
船長さんのお客様へのサービスのつもりか?多勢のお客さんが船橋(操
船司令室)に入りこんで
いる事があります。
パイロットである私としては、極めてやりにくいといった感じです。
さらに加えて船橋内が騒がしかったら、大変です。
関係者以外の人の数が多くなるほど、安全確保を業務とする関係者の神
経集中が脅かされます。
(4)安全操船を行なう上で必要とする行動可能エリア-が十分でな
い。
多勢の民間人が狭い場所でひしめき合っている状態であり、当然安全操
船、安全確認作業の
妨げになっていると思われる。
この度の潜水艦内司令室の状況は、報道から知らされている範囲
で考えますと
上記のすべてが不充分であったように見うけられます。
上記項目どれを見ても、私の知る米国での「コーストガードの安全に関
する厳しい対応」
とはあまりにもかけ離れているようです。
これまでホームページでご紹介して参りましたように。。。
私の船が米国の沿岸を走っている時に、航行禁止区域に入ってしまったと
きがありました。
その時は、突然上空に米軍の飛行機が飛来し、飛行機のラウドスピーカー
から大声で、
「本機の走り去る方向に全速力で走りなさい。貴船は現在米軍の演習海域
(航行禁止区域)を
走っているのだ!!」 と叱られました。
そのあと港に到着後コーストガードの係官よりしっかりと始末書を取ら
れました。
この不始末事件はコーストガードが発行している航行警報の入手が間に
合わなかった事
により発生しました。
今回の「えひめ丸」は、航行禁止区域でもない全くの自由往来可能な水
面を航走しているとき
に、いきなり潜水艦が浮上してきたものであり、状況は全く異なります。
さらにはまた、次ぎのようなコーストガードの安全に対する断固
たる決意を如実に示す事例を
経験談としてホームページでお伝え致しました。
それは昭和40年代アメリカの油濁防止に関する厳しい規則が世界に先
駆けて発動した
ばかりの頃でした。
あるタンカーでアメリカの港に入港することになり、新しいアメリカの
油濁防止規則を取り寄せ、
しっかりと勉強をして入港しましたが、港外で乗船してきたコーストガー
ドの係官による取り調べが
非常に厳しかった。
係官は出来あがったばかりの油濁防止規則を片手にチェックリス
トを順次しらみつぶしに
チェックすること本船全域でおよそ6時間を費やしました。
さすがにアメリカだな!と思いました。決めた事は絶対に守らせる。
入港拒否、多額の罰金も課すことも辞せず。
以来、こと安全に関するアメリカの有言実行の徹底度には畏敬の念を抱い
ておりました。
米国の領海内にあるすべての船舶に対して安全に関する米国の諸法規を
守らせる姿勢の
確固たる信念には常々頭が下がる思いでした。
3.航行安全に関するマニュアルは??
潜水艦の緊急浮上に際して、どれだけ安全が確認されたか??
報道を見ると、緊急浮上直前まで、「まるでジェットコースターみたい
に急旋回を繰り返し
蛇行しながら航行していた。」
また、「蛇行時はソナーの精度が落ち、他船との距離計算、他船の正確
な位置情報を
割り出すのは難しい。蛇行時は補正計算も必要で、熟練を要する。
蛇行時は誤差が生じやすくなる。」などの情報も明かにされた。
翻ってわれわれの船の場合はどうであろうか?
答えは全く同じです。潜水艦が水面上を航行していないということは、
われわれの場合は、
視界が1マイル程度の狭視界航行と同じような状況です。周囲がよく見え
ない状況です。
1マイル程度での港内操船はしょっちゅうあります。
このような時は、自船の位置を正しく掴むのが難しくなります。
廻りがよく見えないわけですから、見張り要員を十分に配置して、船速
を落とし、
レーダー監視にことさら注意を払います。
有視界の場合には問題のない位置確認にことさら精力を注ぎます。
視界は良好な時に比べると、比較にならないほどの神経を使い、くたく
たに
くたびれます。当たり前のことです。
その為の時間的なゆとりが必要になりますので、速力を落とすの
が大切です。
この度の潜水艦の緊急浮上に至る過程での安全確認の甘さ、距離情報確
認の甘さ、
周囲の状況把握の甘さ等を見るとき、アメリカが得意とする「安全マニュ
アルは
どうなったのか??」の何故??をことさら感ずる次第です。
以上、事故以来すでに3週間が経過しました。新聞報道の内容の
正確さを含め、
いまだ不明確な部分が多い段階ですが、軍による内部調査(予備報告書)
の一部が明かにされ、
同時に米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査結果も一部明かにされつ
つある状況です。
また3月5日には軍による審問委員会では徹底的な調査が行われる事が
明かにされました。
原因の徹底的な追求と再発防止に全力が尽くされる事願っております。
この度の潜水艦の行動は船員の常務に照らして考えると如何なも
のか?
といった観点から、事実が完全には明らかにされていない段階ですが、敢
えて配信
させていただきます。
さらには、港内操船を業とする身として、自分自身への教訓としての
「何故?」を
肝に銘ずるために。。。
稲葉 八洲雄
(阪神パイロット)
ホームページ「海と船の写真展」URL:
http://inaba228.sakura.ne.jp/
E-mail, mm2y-inb@asahi-net.or.jp