船の写真(Part K-2)


2-13 Sealand Freedom
32,629 GT



(下記説明文とともにH9.8.28日本海事新聞・カメラ旅「路」の欄に掲載された。)

    多くの船乗り、かって船乗りであった人々にとって、神戸の港は今も心の母港で
あ り続けている。数ヶ月ぶり、時には1年ぶりに帰港したとき、沖合から見る神戸の港、
六 甲山の山並み。 母の優しい眼差しと父なる六甲山の逞しい両腕に包まれる思いで、
思 わず目に涙したものだ。 港のパイロットとなって4年余り経ったある日の早朝、
大 阪から神戸沖に船をきょう導。 指定錨地に投錨し、パイロットボートに下船。
事 務所に戻る途中で撮ったのが、この写真です。 毎日”仕事船”30余年の人生の軌跡を
追 うように、港と仕事船ばかり撮り続けている。仕事中、常時携行している共に世界最小、
最 軽量のボディー、レンズで撮った。最も好きな”港と仕事船”を最も好きなアングルで
撮 ることが出来た。
   先に第3航路を入港してゆくのが「DAGMAR MAERSK(50,644 GT)」、続いて入港する
の が「SEALAND FREEDOM(32,629 GT)」
            カメラ:PENTAX MZ−5(415グラム)
  レンズ:TAMRON 28ー200mm(430グラム)(ズーム約60mm)

2-14  Britania
3,488GT
(英国王室所有船)




自由な討論を愛する英国民。談 合、なれあい、総会屋などありえない。
  情報公開の徹底など市民に開かれた政治が行われている国、英国。こんなすてきな国に、
  こんな変てこな船があった。
     LAST VOYAGE "BRITANIA"。間もなく香港返還となる平成9年6月のある日、
  神戸港に寄港。このあと香港で、返還式典に出席するチャールズ皇太子の御宿となる。
  船体の周囲どこを捜しても船名、船籍港はもとより、文字は一字も見つけられなかった。 
    人々は初対面の挨拶で名詞を交換する。山で出会えば挨拶を交わす。船は行き会うとき、
  船体に表示された船名・船籍港を見せて自己紹介している。
    英国王室船は、すべてが超法規的で別格という事なのであろうか。 式典の後、
  本国に還り廃船される運命にあった。 まさに、新しい時代の幕開けである。 


2-15 Wan He
65,140 GT






中国の代表的船社COSCO,  神戸港の最大手ユーザーの一つでもある。
こ の65型も現在はすでに6隻稼働している。  H10年初めよりポートアイランド2期工事
深 水深バース2バースがCOSCO専用として供用開始されている。この撮影の時点
(平 成9年9月)では、まだ摩耶埠頭公共バースが使用されており船体の大きさに比べ
バー スの狭小さが際立った。
     手前に停泊中は同じCOSCOのLU HE 65,140 GT。使用レンズの効果で遠景の
六 甲アイランドまでの距離が肉眼で見るより約半分に圧縮されている。
摩 耶埠頭西部より撮る。


2-16 Sovereign Maersk
91,560 GT




早起き は三文の得。神戸港の朝のすばらしさは三文どころか千金に値する。
    この写真、平成9年10月19日新造船の初入港。天気良し、空気も澄み切っている
日曜日の朝0430に家を出て0600の渡船に釣り人と共に乗る。
   この日は第7防波堤に渡った。全長4,200メートルの長い防波堤上には釣り客で
いっぱい。コンテナ船を撮りにきたのはいつものことながら私だけ。防波堤上で朝食をとる。
   メニューは, おにぎり”2個と”缶入りお茶1本”がきまり。空気の良い朝の防波堤上での
食事、最高に贅沢なご馳走だ。
  世界最大のコンテナ船”Kクラス”が誕生してわずかに一年余り、またまたマースクは
”世界最大”を更新した。LOA347m, 船幅42.8m、船横17列積載。神戸港初入港時のもの。
この船型”Sクラス”と呼ばれ、その後三ヶ月に1隻のペースで就航し、平成10年後半
までに全9隻が就航する。港湾設計基準で想定していた最大船型を大幅に上回っている。
   1バース長350m時代の終焉を感じさせる。


2-17  Bay Bridge
34,467 GT




仕事休みの日の早朝、0600陸発の渡船で多くの釣り人と共に防波堤に渡る。
カメラ2台とレンズ数本, それに三脚を含め重さ合計約12キロ、釣り人の装具よりかなり
重いのではなかろうか。 神戸港第7防波堤東西方向に長さ4,200メートルと神戸港では

最 長。朝は西端で撮り、東端からの入港船撮りのため、昼は東端まで歩く。
   夕方は第3航路の出港船を撮りに再び西端まで歩く。
   一本の防波堤の上を重さ12キロの装備で1日1往復8キロ余り歩く。非常に健康によい
スポーツでもあると喜んでいる。
 六甲アイランド西岸RCー2へ右回頭出船係留するところを2,200m 沖合の防波堤より
240mm望遠にて撮る。圧縮効果により、六甲山の山肌の接近感が絶妙。
  この写真のように空気が澄んでいるときの気分は満点。手前のRCー3Wに係留中は、
RICHMOND BRIDGE 31,403GT



2-18 NYK Antares
75,637 GT





待ちに待ったわが国初の超7万GT級NYKコンテナ船第1船 (LOA300m,船幅40m、
船横16列積 載)が就航し、神戸港に初入港した。造船所より受け取り、
神戸に回航された時のもの。
これは出港時回頭中を第7防波堤上東端付近より撮った。 

     現在の神戸港の東西方向の長さ、西は第1航路から東の第7防波堤東側進入路まで、
距離にして6.5マイルと横に非常に長い。進入路は4ヶ所に分かれている。 

    NYK専用ターミナルへは神戸港最東端進入路より入る。この船、
邦船社のフラグシップと思われるような立派な船であるが、
船長を含め全乗組員は外国人だ。

   100%邦船社支配下にあるが日本籍船では無い。


2-19 神戸港第2航路白灯台

神戸港第2航路は、昭和40年代前半までは神戸港の表玄関口であった。
第2航路白灯 台即ち、第1防波堤東灯台には「神戸港」の銅製文字板が
取り付けられて
いる。
     昭和39年、40年と2年続けて神戸港が台風による水害を受けたとき、安全祈願の
ため神戸市在 住の女流書道家である長浜 洸(あきら)さんが自費製作し神戸市に寄贈、
取り付けられ たもの。1字の大きさは一辺が2メートルの正方形の巨大な銅板である。
    夜間はライトアップされ神戸市街の夜景と共に際立って見える。わが国では港名
入りの灯台は これだけであるとのこと。(五管本部灯台部談)

2-20 Pacific Venus
26,518 GT




ヴィーナスの名に相応しい美しい 船体。内装、内部のレイアウトの豪華さにおいて、
超 ファイブスターとも評されている。 緑の六甲山を背景に見る白い船体は、いつ見ても
美 しい。 写真は平成10年4月5日就航開始の時のもの。神戸港初入港、関係者多数を
招 いてお披露目式典。
   一般にも解放され豪華な船内のたたずまいに憧れの視線が集まった。 

2-21 P&O Nedlloyd Southampton
80,942 GT





 ピーアンドオーネドロイド80型4隻シリーズ第1船の就航。石川島呉工場を出てきた
ば かり。LOA 299m, 船幅42.8m、船横17列積載、 とくに89,640馬力はコンテナ船
世 界最大である。  神戸港第7防波堤東側よりバースとなる六甲アイランドNYK専用岸壁
RC -7へ向けアプローチ,着桟直前のもの。六甲アイランド南東端より撮る。


2-22 Oocl Singapore
66,086 GT





ポートアイランド深水深バースPC15より出港、左回頭中。 後方に見えるバースは
PC16, 17(COSCO専用ターミナル)。左隅の白色塔は、新たに2,500メートル沖合の
防 波堤東端に増設された第8防波堤東端に増設された第3航路信号所。
第 6防波堤上より撮る。


2-23  ふじ丸
23,340GT





かつての神戸港表玄関口、旧第1 航路(現在は第2航路)を入航し、客船バース新港
第 4突堤にアプローチするところ。  昭和40年代、高度成長が始まるまで、この付近一帯に
30 個を超える係船ブイがあったが、その後の港湾の拡充により不要となり今はひとつも
無 い。 しかしながら、この神戸港第1区だけには、神戸港の古い面影がわずかながらも
残 されている。 
  この写真「ふじ丸」平成元年就航。クルーズ元年といわれた客船ブームの火付け役を
演 じた。新港第3突堤先端より撮る。


2-24 Alligator Pride
41,126 GT






暗雲垂れ込めたある日の正午頃、神戸港ポートアイランド2期工事PCー15MOL
ター ミナル東端より左回頭出港中を撮る。
      雲間から一瞬太陽光が本船を捕らえた瞬間をパチリ。 

2-25 Harbour Bridge
34,285 GT





強風は天敵!! 港内でも 白波がたつほど風が強い日の入出港操船は厳しい。
港内の狭いところで強い横風を受けると全長300メートル、船幅40メートルもある
どでかい船体が風下に落とされ風下側の余裕スペースを刻々と狭めていく。
    この状況を身体で感じとり、本船エンジンおよび舵、操船支援のタグボートに
矢継ぎ早に指示を与えていく。このような状況下でタグは、風波に翻弄され、
自身の姿勢制御だけでも多大な努力を払っている。「タグボートよ頼むぜ!!
間もなくランディング体勢に入るぞ!!」  と心でつぶやく。
   バースへの着離桟作業はパイロット、船長ほか本船乗り組み員そしてタグボートとの
チームワークによってなされている。
   風の強い日、一日の仕事を終え家路につくと、あちこちの関節が痛み、歯も痛む。
力が入ったのだろう。
  この写真、ある年の正月明けの6日仕事休みの朝、0645頃神戸港六甲アイランド
川崎汽船ターミナル南西端岸壁上より第3航路入航中を撮る。
   冬の季節風強く神戸港内は白波で真っ白、重さ4キロの三脚に3キロのカメラ・レンズを
乗せていたが風で倒されそうであった。この日、大阪港は強風のため、終日ポートクローズ。
大阪はとくに冬の季節風に弱く、当日はパイロットボートはおろかタグボートも港外に
出られない状態であった。

2-26 La Loire
58,531 GT





神戸で魂を授かり、神戸の海で手厚 く育まれた。母なる港、神戸港。
  ある日突然の災いで母は深傷を負う。子は為すすべもなく、ただ無言で母に寄り添うこと
  幾多日。母の傷はいつしか癒え、子は安堵の背を見せ去く。
    
    震災後2年、この間港は至る所で復興に向け、逞しいうなり音を立て続けた。
    平成9年1月の朝、冬とは思えぬのどかな1日が始まった。
  神戸港ポートアイランド2期C−15MOLターミナルを出港するところを岸壁上より撮る。
遠 くの高い建物は大阪南港コスモタワー(高さ254メートル)。

2-27 Oocl Hongkong
66,046 GT






視界の悪いときの入港操船も大変に厳しい。霧中信号を吹鳴しながら全方位に
神経を注ぎじわじわと港口に向かう。この間、船橋(操船 室)内は、緊張感が
張りつめている。 入口の防波堤灯台が見えてくると関係者全員の表情に”見えたぞ!!”
といった安堵感が表れひとまずホットする。 わずか数百メートルの距離の巨大な物体が
突如として眼前に現れる。 無事着け終わると誰彼と無く握手する姿が自然に映る。


 

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